日本の企業の99.7%を占める中小企業へ。AI活用は“相談できる体制”から

中小企業こそ、まずは“AI担当者”より“AI相談役”を置くべき理由
「DXやAIに取り組まなければいけないとは思っている。
でも、何から始めればいいのかわからない。」
中小企業の現場では、このような声をよく耳にします。
経済産業省が公表している「DX支援ガイダンス - デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ -」でも、中堅・中小企業等にとってDXは、企業の存続や持続的成長に必要不可欠な取り組みであるとされています。背景には、中堅・中小企業等が国内企業数の99.7%、雇用の約70%、付加価値額の50%以上を占め、日本経済を支える存在であることがあります。
一方で、同資料では、中堅・中小企業等は特に人材・情報・資金が不足しており、独力でDXを推進することは難しいとも指摘されています。そのため、企業のDXを支援する組織や個人が“伴走役”となり、デジタル化を支援していく新しいアプローチが有効だと整理されています。
これは、生成AIの活用でも同じです。
AIツールを入れるだけでは、業務は変わりません。
社内に「AI担当者」を一人置くだけでも、現場に定着するとは限りません。
必要なのは、業務を一緒に見直し、現場で使える形に落とし込んでくれる“AI相談役”です。
この記事では、中小企業がAI活用を進めるうえで、なぜ最初からAI専任者を置くのではなく、外部のAI相談役から始めるべきなのかを解説します。
AI担当者を置くだけでは、現場は動きにくい

生成AIの話になると、「社内に詳しい人をつくらなければ」と考える企業は少なくありません。
もちろん、社内にAIを使える人材を増やすことは大切です。
しかし、中小企業では一人ひとりが複数の業務を抱えています。そこに「AI担当者」という役割を追加すると、その人だけに負担が集中してしまうことがあります。
たとえば、次のような判断が必要になります。
どのAIツールを使うのか。
どの業務から試すのか。
社内情報や個人情報はどこまで入力してよいのか。
作った仕組みを誰が管理するのか。
社員にどうやって使い方を広げるのか。
これらを、社内担当者だけで判断するのは簡単ではありません。
AI導入は、パソコンに便利なアプリを入れることではありません。
業務の流れを整理し、使う場面を決め、現場で続けられる形にすることが必要です。
まず必要なのは“AI相談役”という存在
そこで中小企業におすすめしたいのが、最初からAI専任者を置くのではなく、外部の“AI相談役”を置く進め方です。
AI相談役とは、AIツールを紹介するだけの人ではありません。
現場の業務を一緒に整理し、
「この作業はAIに任せられるか」
「ここは人が確認したほうがよいか」
「まずはどこから始めると効果が出やすいか」
を一緒に考える存在です。
いわば、AIと現場業務をつなぐ通訳のような役割です。
AIの機能だけを見ていても、業務改善にはつながりません。
大切なのは、自社の業務に合わせて、無理なく使える形に落とし込むことです。

“担当者づくり”より“相談できる状態づくり”から

AI担当者を育てることは、決して悪いことではありません。
ただし、最初の段階で大切なのは、「AIに詳しい人を一人つくること」よりも、「困ったときに相談できる状態をつくること」です。
たとえば、月に一度、AI相談役と一緒に業務の困りごとを整理する。
議事録作成、メール文作成、資料作成、問い合わせ対応など、身近な業務から試してみる。
うまくいった使い方は、手順として社内に残す。
この流れを続けることで、社内に少しずつAI活用の型がたまっていきます。
最初から大きな仕組みをつくる必要はありません。
まずは、毎週発生している小さな手間を減らすこと。
そこから、AI活用は現場に根づいていきます。
外部相談役がいると、社内担当者も育ちやすい
外部のAI相談役を置くことは、社内担当者を不要にすることではありません。
むしろ、社内担当者が育ちやすくなります。
最初からすべてを任せるのではなく、相談役と一緒に小さな改善を積み重ねる。
その過程で、社内の人も「どの業務にAIが向いているのか」「どこは人が判断すべきなのか」を学べます。
AI活用は、特別な部署だけのものではありません。
事務、営業、採用、広報、顧客対応など、日々の業務の中に改善のヒントがあります。
外部の視点が入ることで、社内では当たり前になっていた作業にも気づきやすくなります。
AIを“使う”から、業務が減る仕組みへ

AI導入で大切なのは、便利なツールを増やすことではありません。
大切なのは、業務が少しずつ減り、社員が本来やるべき仕事に時間を使える状態をつくることです。
そのためには、まず現場の業務を理解し、無理なく始められる一歩を見つける必要があります。
中小企業こそ、いきなりAI専任者を置くのではなく、まずは相談できる相手を持つこと。
それが、AI活用を一過性のブームで終わらせず、実務に根づかせる近道です。
参照元:経済産業省「DX支援ガイダンス - デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ -」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dxshienguidance.pdf
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